ピアノ一筋の僕はどんな本を読めばいい?

文学経験値0の大学生が空っぽの本棚を埋めていく

『最新 ピアノ講座』を解読する

最初に申し上げますと、この本は全ピアノ演奏者必読です!

 

『最新 ピアノ講座』(音楽之友社)という書籍は、1970年代終わりから1980年代に出版された全8巻からなるものです。

最新と言うのにもう40年経つじゃないか!とはいえ、クラシック音楽は200年間で培われた代物なので、そこらへんは大丈夫(?)

1巻 ピアノとピアノ音楽
2巻 世界のピアノ教育とピアノ教本
3巻 ピアノ初歩指導の手引 Ⅰ

4巻 ピアノ初歩指導の手引 Ⅱ

5巻 ピアノ実技指導法

6巻 ピアノ技法のすべて

7巻 ピアノ名曲の演奏解釈 Ⅰ

8巻 ピアノ名曲の演奏解釈 Ⅱ

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上の図をよく見てください。名だたる日本の音楽家たち!クラシック音楽に少しでも興味ある方は、三好晃、中田喜直の名は聞いたことがあるでしょう。

他にも池内晋一郎、市田儀一郎園田高弘、安川加寿子など、ピアノ教本や編纂して頂いた楽譜にお世話になってますねー。

 

この書籍はピアノのあらゆる事に言及したものなので、日本のクラシック音楽界で非常に重要な地位を占めていると思います。

重要度は「芸大和声」と同じくらいでは?

 

今回は「ピアノ技法のすべて」という副題の第6巻をご紹介したいと思います。

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ピアノ練習の理想形が詰まっている

第1章「練習について」、第2章「種々の技巧のマスター法」を執筆したのは先ほども名前をご紹介した園田高弘氏。

彼は幅広いレパートリーと確かな技術力で知られ、日本で最初の国際的ピアニストといわれます。また音楽教育にも熱心で、日本のクラシック音楽の裾野を広げた偉大なパイオニアの一人です。

 

楽曲を緻密な分析で再構成し、堅く厳格な演奏が特徴の園田氏ですが、練習への姿勢も超シビア!

でも、ここに書かれていることをすべて気を付けて練習に励めば、必ず飛躍的な上達が約束されているでしょう。

 

まずはゆっくりから

これは園田氏でなくとも必ずピアノの先生が言うことですが、確実に弾ける速度で弾くことが何よりも大切です。

最初から速く弾ける人はほとんどいないのです。それこそ、プロや初見演奏の特別な訓練をした人くらいです。

私は、譜読みの段階で既に「こう弾きたい!」と早とちりしてグチャグチャになる時期が長かったです。今は私も懲りて、ゆっくり反復練習で頑張ってます。

 

ゆっくり、楽譜に書いてあることを確実に演奏できる速度が一番の近道。急がば回れ

ただし、ゆっくりでも機械的ではなく、最終目標を意識した音楽的表情をつけなければなりません。ここで、園田先生のご指摘を見てみましょう。

「まず指が確実に弾けるようになってから、しかるのちに音楽的な表情,あるいはニュアンスを付ける」または「それについて考える」というようなことがある。これも著しい間違いである。なぜならば,いつ,どのような状態になれば指が確実になるという基準があるだろうか。そこには確実という限界もなければ,だいいちその保証はない。(p.11)

機械的な練習は無意味であり、故障の原因になる可能性もあります。

ゆっくり、豊かに。

できるようになったら、だんだんと速くしていきましょう。

 

部分練習と声部別練習

もし、どれだけゆっくり演奏しても詰まってしまう時、部分練習や声部別練習を行いますよね。この時も、最終的にどのような音楽にしたいかを念頭に練習しなければ、通常の速度で演奏した時に、せっかくの練習とは違う弾き方になってしまいます。

頭ではわかっていても、いざ通常の速度に戻すと崩れるんですよ・・・困ったなあ。

 

楽曲についての理解

①楽曲の形式をつかみましょう!

ソナタ形式ロンド形式、フーガ等、音楽には決まった型が多く存在します。

形式あるいは様式を認識していないと、楽曲理解の解像度が低く、音楽の深みが増しません。反対に作品の形式を理解していれば、音楽を俯瞰的に見ることができ、さらなる理解も得るでしょう。

 

②作曲者の意図を理解しましょう!

なぜこの楽曲が作られたのか、その経緯や目的を調べて理解を深めることも大事だと書かれています。そしてそれらを音楽の様式や形態とつなげられたら尚良し。

園田氏は丁寧にバッハ、ベートーヴェンショパンシューマンを取り上げて、それぞれの意図や特徴、傾向を教授してくださいます!一読の価値あり!

 

生活リズムに習慣づける

ピアノを愛好する人の中には、学生もいれば主婦(主夫)、会社勤め、シニアなど多種多様なわけです。学校や会社、家事など人それぞれの用事がありますが、そこへピアノの練習を習慣として取り入れることが必要です。

当たり前と思われるかもしれませんが、しかし、継続的、計画的な練習はとても難しいことです。

気分が乗らない時、何かと言い訳を作って練習をさぼる経験はないでしょうか。私は数えきれないほどあります。

園田氏は「気分に左右されたらだめ」「時間を決めてピアノに向かう」ということを強く主張しています。そうすれば、いずれ熱中して集中力を呼びさませるそうです。

 

また、1日のうちの練習は分割して行うことを推奨しています。学生なら、帰宅後に短く練習、夕食を取った後に数時間しっかり練習といった例が挙げられています。

これは、集中して質の高い練習をすることを目的としているでしょう。だらだらと練習していたって、成果がなかなか出てきませんからね。

 

専門の音楽学生に対しては、3段階の分割練習を提示しています。

1回目:音階練習、アルペジオ練習、2,3声のフーガの練習または検討

2回目:練習曲、楽曲の練習(2~3時間)

3回目:暗譜の練習および復習、初見練習

 段階を踏んで、効率よく練習するというところになるほどと思いますね。

 

適切な練習は個人差あり

古今さまざまなピアノ教本や指導書がありますが、どれも「絶対的な教科書」ではないということは念を押して書かれています。ピアノには体格、手の大きさ、性格など個人差のある要素が多く関わってきます。長くピアノと付き合っていくために、自分に合った練習方法を探していきましょう。

 

ほかにも、第1章には「曲の選択の仕方」「初見の意味と練習法」「手の形と打鍵法」など役に立つ情報ばかりですので、絶対買った方が良いです!!ここには書ききれません!

 

技巧別練習方法、伴奏テクニック

第2章にはピアノの技巧別に分けた練習方法がたくさん載っています。

レガート、スタッカート、オクターヴ、トリル、アルペジオ、手の交差、ペダル、etc.

しかも、これらの技法が主に使われている楽曲をバッハからプロコフィエフまで広範囲の時代から引用してくださっています!

 

84ページにのぼる貴重な技巧解説ですので、ぜひ読んでください!!!!(ただ上手くまとめられないポンコツ

ちなみに、ハノンのような機械的訓練だけではダメだと書かれていてショックでした。

 

第3章は伴奏・アンサンブルのテクニックについて、5名の執筆者が書いています。

器楽の伴奏ではバランスや作曲家の指示、演奏者との意見交換など、歌曲の伴奏では詩についての理解やブレス、アーティキュレーションの確認などがアドバイスされます。

室内楽ではヴァイオリン、フルートなど楽器ごとの注意が書かれていて驚きました。とにかく細かく指導があり感心します。

高校や大学では伴奏を頼まれることが多いので、新しい発見や改めて気をつけたい点などがありました。

 

 

『最新 ピアノ講座』ぜひ図書館や古本屋で読んでみてほしいシリーズです。こんなにも貴重な解説本が絶版だなんて!

 

以前書いた私なりのピアノ上達法もぜひご覧ください。

pianoman0315.hatenablog.jp